最近、DXという言葉が様々な場所で叫ばれています。
DXとは「Digital Transformation」の略で、日本語ではデジタル変革と訳され、「組織的な改革をし、現代の激しい競争社会で優位性を確立すること」を言います。
ですが、その具体的な内容や進め方が分からなかったり、デジタル化やIT化と混同されることがよくあります。
ここでは、それらの違いと具体的なメリットや進め方について解説していきます。
DX化とデジタル化・IT化の違い
まずは、混同されやすい「デジタル化」と「IT化」との意味の違いを説明します。
デジタル化
デジタル化は「紙などのアナログ・物理データを電子化すること」です。
例えば、対面で行っていたミーティングをオンラインで行う、書類をデータベース上で管理しペーパーレスにするなどがあります。
IT化
続いてIT化とは、「業務プロセスを改善すること」です。
言葉だけだとよく分かりませんが、例えば、勤怠をタイムカードの打刻(アナログ)から社員証の読み取り(デジタル化)に変え、その情報を新たに導入したデジタルツールで管理できるようにする(IT化)ことなどが挙げられます。
DX化
DX化とは、上記であったように「組織的な改革をし、競争社会で優位性を確立すること」です。
言い換えると、新しい技術などを取り入れて業務の効率化を図り、変化する顧客ニーズに対応して新しいビジネスモデルを開発・提供することです。
具体的には、デジタル化・IT化をして業務を効率化し、そこからあぶれた「時間・人材や費用」を「新しいビジネスモデルを開発・提供すること」に充てます。
つまり、デジタル化・IT化はDX化の中の1つのステップなのです。
DX化が叫ばれるようになった理由
では、DX化が叫ばれるようになったのはなぜでしょうか?
そのきっかけとなったのは、やはり「2025年の崖」が発表されたことにあります。
「2025年の崖」とは2018年に経済産業省から発表されたDXレポートに記載されている言葉で、「日本のDX化が進まなかった場合に予想される2025年以降の経済損失が、最大で年間12兆円となる可能性がある」といったものです。
「2025年以降」に「毎年12兆円が失われる」可能性があるということなので、本当にこのまま進まなければ、莫大なお金が無駄に消えていくことになります。
そういった意味で政府も「2025年の崖」を発表することで警笛を鳴らし、日本全体でDX化が叫ばれるようになったのです。
DX化のメリット
では、実際にDX化のメリットについて解説します。
1.業務の効率化
DX化の最初のステップであるデジタル化・IT化によって、業務の効率化が図れます。
例えば、顧客のデータを紙からデータベース上での管理にすれば、一々紙の束を持ってきて顧客のデータが書かれた1枚の紙を探し出すような行為が不要になります。
しかも、電子データですから、必要な時に簡単に探し出すこともできます。
2.新しいビジネスモデルの開発
上記のようにデータベース上で管理ができるようになれば、新たにデータを収集・解析するシステムを作ってそれを活用することもできるようになります。
そうすると、従業員は収集・解析の手間が省け、解析データに対して新たなビジネスモデルを開発することに注力することができます。
DX化のデメリット(課題)
それでは、デメリット(課題)を説明していきます。
1.IT人材の確保
2022年に中小機構が行った「中小企業のDX推進に関する調査」によると、半数以上が「IT人材が足りない」と回答しています。(下記図の黄色いマスキング部分。)
これは、非常に深刻な問題で、実際に新しいIT技術を導入してもそれを使いこなせる人材がいないということも起こっています。
2.費用の確保
莫大な費用がかかるので、特に、中小企業にとっては費用を確保できないことが多いです。
こういった場合は、まずは無料ツールから使用していきましょう。
例えば、予定の共有などであればGoogleカレンダーなどで十分ですし、データの管理もDropboxなどの無料ツールがあります。
また、そういった無料ツールを探すには「ここからアプリ」という中小機構のアプリ検索サイトがお勧めです。
ここからアプリ:https://ittools.smrj.go.jp/
DX化をする上で重要なこと
次に、実際にDX化を進めるうえで重要なことを解説します。
1.社長の理解と積極的な推進
まずは、企業のトップである社長の理解が必要です。
いくら従業員がDX化の必要性を理解して推進しようとしても、最終的にその手綱を握る社長の判断が「DX化をしない」のであれば、何もできません。
ゆえに、社長自らがDX化に対して理解を示し、積極的にDX化を進めていくことが不可欠です。
さらに、DX化の推進部門にまかせっきりにするのではなく、きちんと連携をとり定期的に社長自らフォローしていくことも重要です。
2.従業員の理解
組織的な改革ですから、従業員の理解も必要不可欠です。
具体的なDX化のステップは後ほど解説しますが、最初のステップとして社内の問題やボトルネックになっている部分を調査します。
そうした調査をした結果、場合によっては大きなシステムの変更などが必要になることも出てくるでしょう。
これはつまり、「使い慣れたシステムを変える」ことになり、その変化に対して従業員から不満や不安の声が上がる可能性は大いにあるでしょう。
人は誰しも、大きな変化が起こることに恐怖や不安を感じます。ですが、きちんと「こういった目標があって、先を見据えた改革である」ことを説明し、従業員の理解を得られるような努力をしましょう。
そうすれば、DX化も有利に進めることができるでしょう。
DX化のステップ
では、DX化の具体的なステップについて解説します。
1.自社の問題を把握
まずは、自社内で業務の効率化を図ることができる部分が無いかを調査しましょう。
この際には、従業員が「やりづらくて困っている業務」も含めて調査し、業務のボトルネックとなっている部分を洗い出します。
2.最終目標を明確化
最終的にどういった形でDX化を進めればよいのかを明確化しましょう。
上記で調査した問題の解決方法を探し、方向性を決定づけましょう。
3.組織体制の構築
必要に応じ、自社内にDXを担当する部門を作り、IT人材の確保をしましょう。
4.デジタル化・IT化
いよいよ、DXに踏み出します。
まずは自社内の問題の解決を先駆けとし、デジタル化・IT化を進めていきましょう。
5.データの収集・分析・活用
デジタル化・IT化によりデータを集められる環境が整ったら、データの収集をしましょう。
そして、十分なデータが集まったら、そのデータを分析・活用し新たなビジネスモデルの開発をしましょう。
DX化の必要性をきちんと理解し進めよう
いかがでしたか?
今回は、IT化との違いやDX化のメリット・進め方などを解説しました。
DX化が進まなければ、ほんの数年後には莫大なお金が消えていくことになります。
DX化の必要性をきちんと理解し、どんどん推進していきましょう。
コメント